ベトナムの青田売り「銀行保証」とは:外国人購入者が必ず確認すべき点2026
ベトナムの新築コンドミニアムの多くは、建物が完成する前に売り出される「青田売り(オフプラン)」です。竣工まで数年、その間に数億ドンを前払いするこの仕組みで、買主を守る最重要の安全網が「デベロッパーの銀行保証」です。2024年8月1日に施行された新しい不動産事業法(2023年法)で、この保証は外国人を含む青田売り契約に対して原則義務化されました。本記事では、保証が何をカバーし、外国人購入者が契約前に何を書面で確認すべきかを、2026年現在の制度に沿って誠実に整理します。
なお本記事は一般的な情報提供であり、法務・税務上の助言ではありません。金額・割合・運用は変動し得るため、実際の契約前に必ずベトナム法に詳しい弁護士・税理士へご相談ください。
青田売りの「銀行保証」とは何か
銀行保証(bank guarantee)とは、デベロッパーが契約どおりに住宅を引き渡せなかった場合に、買主が支払済みの金額を銀行が代わって返金する仕組みです。2023年不動産事業法(2024年8月1日施行)第26条により、デベロッパーは青田売り住宅を販売・賃貸購入で売り出す前に、国内の商業銀行、またはベトナムで合法的に営業する外資系銀行支店から保証を取得しなければなりません。
ポイントは「保証の主役は銀行」だということです。デベロッパーが倒産・遅延・引渡し不能に陥っても、銀行が第三者として保証債務を履行します。保証の対象は、買主が支払った前払金全額に加え、売買契約で合意した利息・違約金・損害賠償などです。有効期間は、デベロッパーが最初の入金を受け取った時点から、引渡し義務が完了するまでをカバーする建付けになっています。
青田売りそのものの基礎知識は青田売り(竣工前)と完成物件の違いで詳しく解説しています。本記事は「保証」に絞って掘り下げます。
保証は外国人をどう守るのか/守らないのか
外国人がベトナムの正規プロジェクトでコンドミニアムを買う場合も、第26条の保証義務は同じく適用されます。引渡し不履行という、青田売りで最も怖いシナリオに対し、支払済み金額が銀行で守られるのは大きな安心材料です。
ただし誤解してはいけないのは、保証がカバーするのは「引渡し不履行」だけだという点です。次の表のとおり、品質や権利の問題は別の話です。
| 銀行保証がカバーするもの | 銀行保証がカバーしないもの |
|---|---|
| デベロッパーの引渡し遅延・引渡し不能 | 完成した建物の品質不良・仕様違い |
| 支払済み前払金の返金 | 共用施設・面積の相違、瑕疵 |
| 契約で合意した利息・違約金等 | 外国人枠超過による所有証明書の取得不可 |
| デベロッパー倒産時の財務的補填 | 権利関係(土地使用権の適格性)の問題 |
| — | デベロッパーとの個別の紛争・追加費用 |
つまり保証は「お金が返ってくる保険」であって、「良い物件・正しい権利が手に入る保証」ではありません。外国人枠(コンドミニアムは原則総戸数の30%まで)や所有証明書(ピンクブック)の取得可否は、保証とは別に必ず確認すべき論点です。土地・所有権の基本は外国人は土地を所有できるかを参照してください。
自分の契約に保証があるか確認する3つの書類
「保証はありますよ」という口頭説明だけでは不十分です。外国人購入者は、次の3点を書面で確認してください。
- 省建設局(DOC)の販売可能通知 — そのプロジェクトが青田売り適格と確認された公的通知。デベロッパーは販売前に省建設局へ届け出て、書面確認を受けている必要があります。
- デベロッパーと銀行の保証契約 — 保証枠そのものが存在することを示す契約。銀行名と保証の範囲を確認します。
- あなた個人名義の保証書(保証レター) — 最重要。新法下では各買主に対し個別の保証レターが発行される建付けです。自分名義のレターの交付を求め、**銀行名・保証金額・有効期間(最初の支払い時〜引渡し完了まで)**を確認してください。
保証レターの保証金額が、自分が支払う予定の総額をカバーしているか、有効期間が引渡し完了まで含むかは、必ず照合すべきポイントです。
2025年以降の「買主オプトアウト権」とその注意点
新法のもう一つの変更点が、買主が書面で保証を「不要」と選べる制度(オプトアウト権)です。契約締結時に書面で合意すれば、保証を付けずに契約できます。
しかし外国人個人購入者には、原則としてオプトアウトをおすすめしません。理由は明快で、保証を放棄すると引渡し不履行時のリスクがすべて買主に移転するからです。デベロッパーが値引きと引き換えに保証放棄を提案するケースもありますが、竣工前に多額を前払いする青田売りで、保証は最も重要な安全網です。デベロッパーの財務体力・過去の引渡し実績を自分で完全に評価できる場合を除き、保証は維持する判断が無難でしょう。
これは外国人購入者がはまりやすい落とし穴の一つです。よくある失敗例は外国人購入者がよくする失敗にまとめています。
手付5%上限と、引渡し前70%/95%の支払い上限
保証と並んで、新法は前払い額そのものに上限を設けて買主を守っています。これらは買主保護のための強行規定です。
| 場面 | 支払い上限(目安・変動し得る) |
|---|---|
| 契約締結前の手付(デポジット) | 販売価格の 5% まで |
| 引渡し前の累計支払い(国内デベロッパー) | 契約額の 70% まで |
| 引渡し前の累計支払い(外資系/FDIデベロッパー) | 契約額の 50% まで |
| 所有証明書(ピンクブック)交付前の累計 | 契約額の 95% まで(残5%は留保可) |
ここで外国人が特に意識すべきは、FDI(外資系)デベロッパーの場合は引渡し前の上限が50%に下がる点と、所有証明書の交付前は95%までしか払う義務がなく残り5%を証明書受領まで留保できる点です。契約書の支払いスケジュールがこれらの上限を超えていないか、必ず一行ずつ照合してください。なお割合・金額は契約や運用で変わり得ます。
外国人購入者のためのチェックリスト
契約前・支払い前に、以下を一つずつ確認することを強くおすすめします。
| 確認項目 | 確認方法 | 状態 |
|---|---|---|
| 省建設局(DOC)の販売可能通知があるか | 書面の提示を求める | ☐ |
| デベロッパーと銀行の保証契約が存在するか | 銀行名・保証範囲を確認 | ☐ |
| 自分個人名義の保証レターが交付されるか | 交付を書面で要求 | ☐ |
| 保証金額が支払予定総額をカバーするか | レターの金額を照合 | ☐ |
| 保証の有効期間が引渡し完了まで含むか | レターの期間を確認 | ☐ |
| 保証のオプトアウトに同意していないか | 契約書の該当条項を確認 | ☐ |
| 手付が販売価格の5%以内か | 契約書で照合 | ☐ |
| 引渡し前支払いが70%(FDIは50%)以内か | 支払スケジュールを照合 | ☐ |
| 証明書交付前の累計が95%以内(5%留保)か | 支払スケジュールを照合 | ☐ |
| 外国人枠(コンドミニアム30%等)に余裕があるか | デベロッパーに在庫枠を確認 | ☐ |
| 所有証明書(ピンクブック)取得の見込み | 弁護士に適格性を確認 | ☐ |
購入の全体的な流れと必要書類は外国人の購入プロセスで順を追って解説しています。本チェックリストと併せてご活用ください。
まとめ:保証は「最低条件」、安心は確認から
2024年8月施行の新・不動産事業法により、青田売りの銀行保証は外国人を含めて原則義務化され、手付5%・引渡し前70%(FDI50%)・証明書交付前95%という支払い上限も整備されました。これは買主にとって大きな前進です。
一方で、保証は「引渡し不履行への保険」にすぎず、品質・権利・外国人枠の適格性は別途確認が必要です。そして買主オプトアウト権という新しい落とし穴もあります。保証があること自体を口頭で信じず、自分名義の保証レターを書面で確認する——これが外国人購入者の最大の自衛策です。
本記事は一般的な情報提供であり、法務・税務上の助言ではありません。制度・金額・割合は変動し得ます。実際の契約・支払いの前には、必ずベトナム法に詳しい弁護士・税理士にご相談ください。
Happy Land では、各プロジェクトの販売可能通知・銀行保証の有無・外国人枠の残数などを事前にご確認いただけます。気になる物件があれば、Zalo / WhatsApp でお気軽にご相談ください。保証や支払いスケジュールの確認も日本語でサポートします。現在取り扱い中の物件は物件一覧からご覧いただけます。
よくあるご質問
銀行保証があれば、ベトナムの青田売り物件は100%安全ですか?
いいえ。銀行保証がカバーするのは「デベロッパーが契約どおりに引き渡せなかった場合の、支払済み金額(および契約で合意した利息・違約金など)の返金」だけです。完成した建物の品質不良、共用部の仕様違い、外国人枠(コンドミニアムの30%上限など)に起因する所有証明書(ピンクブック)の取得不可、デベロッパーとの個別トラブルなどは保証の対象外です。保証は「引渡し不履行リスク」への保険であって、物件そのものの良し悪しや権利の適格性を保証するものではない、と理解してください。
2024年8月施行の新法で、銀行保証は外国人にも適用されますか?
はい。2023年不動産事業法(2024年8月1日施行)第26条の銀行保証義務は、買主の国籍を問わず青田売り(竣工前住宅)の売買・賃貸購入契約に適用されます。外国人がベトナムの正規プロジェクトでコンドミニアムを購入する場合も、原則としてデベロッパーは引渡し義務について商業銀行(またはベトナムで合法的に営業する外資系銀行支店)の保証を取得していなければなりません。ただし2025年以降、買主が書面で保証を「不要」と選択(オプトアウト)できる制度が導入されているため、契約書で保証の有無を必ず確認する必要があります。
保証を「不要」とする選択(オプトアウト)はしてもよいですか?
外国人個人購入者には基本的におすすめしません。オプトアウトはデベロッパー側の保証コストを下げる一方、引渡し不履行時に支払済み金額が銀行で守られなくなり、リスクが買主に移転します。値引きと引き換えに保証放棄を提案されるケースもありますが、竣工前に数年・数億ドンを前払いする青田売りでは、保証は最も重要な安全網です。デベロッパーの財務体力や実績を自分で完全に評価できる場合を除き、保証は維持する判断が無難です。最終判断の前にベトナム法に詳しい弁護士へ相談してください。
自分の契約に銀行保証が付いているか、どうやって確認できますか?
3点を書面で確認します。(1)省建設局(DOC)が発行した「販売可能(青田売り適格)」の確認通知、(2)デベロッパーと銀行の間の保証契約(保証枠の存在)、(3)あなた個人名義の保証書(保証レター)。特に(3)が重要で、新法下では各買主に対し個別の保証レターが発行される建付けになっています。契約締結時または最初の支払い前に、自分名義の保証レターの交付を求め、銀行名・保証金額・有効期間(最初の支払い時から引渡し完了まで)を確認してください。口頭での「保証はあります」だけでは不十分です。
引渡し前にどこまで支払ってよいのですか?
新法では前払い上限が定められています。引渡し前の累計支払いは、国内デベロッパーで契約額の70%まで、外資系(FDI)デベロッパーで50%までが上限です。さらに、所有証明書(土地使用権・付帯資産の証明書、いわゆるピンクブック)の交付前は累計95%までしか請求できず、残り5%は証明書交付まで留保できます。手付(デポジット)も契約締結前は販売価格の5%が上限です。これらは買主保護のための強行規定ですが、金額・割合は契約や運用で変わり得るため、契約書の支払いスケジュールを必ず照合してください。
銀行保証は具体的にいくら返ってくるのですか?
デベロッパーが契約どおり引き渡せなかった場合、銀行は買主が支払済みの前払金全額に加え、売買契約で合意した利息・違約金・損害賠償などの金額を、デベロッパーに代わって買主へ支払います(保証レターに記載された保証金額・条件の範囲内)。つまり「自分が払ったお金が銀行によって返金される」のが基本です。ただし実際の返金は保証レターの文言・有効期間・請求手続に従うため、保証金額が支払予定総額をカバーしているか、有効期間が引渡し完了までを含むかを事前に確認することが重要です。金額や条件はプロジェクト・契約ごとに異なります。
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