ベトナムのマンション改装・内装フィットアウト2026:外国人オーナー向け
ベトナム(特にホーチミン)でマンションを購入・所有する日本人オーナーから、「引渡しを受けたが内装が物足りない」「自分好みにリノベしたい」「貸し出す前に手を入れたい」というご相談が増えています。本記事は、外国人オーナーがベトナムのマンションを改装・内装フィットアウトする際の実務を、2026年時点の情報で誠実に整理したものです。
結論から言うと、専有部の内装は基本的に手を入れられますが「自由」ではありません。構造・外観・共用設備には触れられず、どんな工事も着工前に管理組合(BQL)の承認が必要です。ルールを外すと工事停止・保証金没収・原状回復といった重いトラブルになりがちなので、順を追って解説します。
変更してよい範囲・だめな範囲
ベトナムでも日本の分譲マンションと同様、「専有部分」と「共用部分」の考え方があります。住宅法(Law on Housing 2023、2024年8月1日施行)に基づき、建物には防火・運営管理上の基準が定められ、各オーナーは管理規約(building management regulations)に従う義務があります。専有部の内装であっても、共用部や構造・防火に影響する工事は制限されます。
| 区分 | 例 | 可否の目安 |
|---|---|---|
| 内装(非構造) | 間仕切り壁の追加・撤去、塗装、床、照明、造作収納 | 原則OK(BQL承認は必要) |
| 水回り内装 | キッチン・浴室の改装、内装範囲での設備更新 | 条件付きOK(防水・配管に注意) |
| 配管移設 | 共用の給排水竪管・パイプスペース接続位置の変更 | 原則NG/厳しく制限 |
| 構造 | 耐力壁・梁・柱の撤去や穴あけ | NG(自治体の建設許可が別途必要) |
| 外観 | 外壁・バルコニー外観・窓サッシの変更 | NG |
| 防火・共用設備 | スプリンクラー・煙感知器・共用電気配管の無断変更 | NG(PCCC適合が必須) |
判断に迷う典型が「この壁は壊していいか」です。間仕切りに見えても耐力壁のことがあり、自己判断は禁物。図面で確認し、業者・BQLに必ず裏取りしてください。
スケルトン/簡易内装引渡しと必要な内装
ベトナムの新築マンションは「ベアシェル(スケルトン=内装なしの躯体引渡し)」と「ベーシック内装(床・天井・建具・水回りの基本仕上げ込み)」の2系統があります。スケルトン引渡しは、間仕切り・床・天井・キッチン・浴室・造作・照明まで自分で(または業者に依頼して)入れる必要があり、入居・賃貸まで一式のフィットアウトが前提です。
どちらの引渡しを受けるかで工事範囲も予算も大きく変わります。まずは引渡し時の状態を把握することが第一歩です。引渡し検査の勘所はベトランのマンション引渡し検査で詳しく解説しています。
内装業者(thi công nội thất)の選び方
ベトナムには日系(「ローカル価格・日本品質」を掲げる施工実績豊富な会社もあります)とローカルの内装業者があり、工程管理・アフター対応に差が出ます。契約形態は大きく2つです。
- 定額一括(ターンキー):仕様・金額・工期を最初に固定。管理が楽で想定外コストを抑えやすい。
- 設計施工(デザインビルド):設計から施工・家具まで一社が責任を負う。海外在住オーナーに向く。
選定で見るべきは、(1)内装設計・施工を含む事業許可(装飾のみでなく)、(2)ME(電気設備)・PCCC(防火)図面を自社で描ける体制、(3)同等グレード建物での実績、(4)日本語/英語/韓国語での意思疎通、(5)BQL申請を自前で処理できること。「申請はオーナー側でやって」と言う業者や、相場より極端に安い見積もりは要注意です。
グレード別m²単価と費用の目安
費用は仕様で大きく変動します。以下はホーチミンの目安であり、保証された金額ではありません(為替・資材・建物グレードで変動)。1ドル≒26,000ベトナムドン前後を目安に概算してください。
| 範囲・グレード | m²単価の目安(VND) | 総額の目安(70〜90m²) |
|---|---|---|
| 簡易(塗装・床・家具中心) | ― | 8,000万〜1.5億 |
| シンプルモダン内装 | 約800万〜1,000万/m² | 3億〜7億 |
| 中〜高級内装(造作・家具込み) | 約1,200万〜/m² | 7億〜 |
| フルリノベ(解体〜造作) | ― | 6億〜15億超 |
| BQL費用(保証金+管理費) | ― | 別途1,500万〜5,000万 |
工事保証金(construction deposit)は目安1,000万〜3,000万VNDで、検査合格後に返還されるのが一般的です。
工期・遠隔施工管理・段階払い
工期の目安は、構造をいじらない2BR(70〜90m²)で承認後6〜10週間、解体を伴うフルリノベで12〜16週間程度です。作業時間は管理規約で平日の午前・午後に限定されることが多く(例:8:00〜11:30/13:30〜17:00)、騒音作業はさらに制限、土日祝禁止の建物もあります。職人は事前に氏名・身分証(CCCD)・写真で登録が必要です。
海外在住でも、ビデオ通話・写真共有・Zalo/LINEでの進捗報告で十分に管理できます。リスクを下げる実務は次の3点です。
- 段階払い:着手金は抑え、解体後・配管後・木工後・引渡し(完了検査合格)に紐づけて分割。全額前払いは避ける。
- 節目検収:各工程完了時に写真/動画で確認。
- 立会い代行:現地の信頼できる第三者やHappy Landのような窓口に依頼。
遠隔管理の全体像は海外からベトナム不動産を管理するもあわせてご覧ください。
BQL申請・必要書類とよくある失敗
構造に触れない内装なら、書類一式が揃えば承認の目安は3〜7営業日。主な提出物は、工事申請書(ベトナム語)、建築図、ME図、PCCC(防火)図、業者の事業許可写し、職人リスト(CCCD写し)、ピンクブック(所有権証)または賃貸契約の写しです。構造変更には自治体の建設許可(Giấy phép xây dựng、目安15〜20営業日)が別途必要です。
よくある失敗:
- BQL承認前に着工 → 工事停止・保証金没収・原状回復のリスク
- デザインパースだけ提出(ME・PCCC図がない)
- 間仕切りを非構造と思い込み確認を怠る
- 職人の事前登録漏れで入館不可
- 配管移設や騒音時間規制の違反で階下トラブル
なお、工事をしても共用部の修繕積立金(2%基金)や管理費の支払い義務は別途続きます。仕組みはマンション管理費と2%修繕基金を参照してください。賃貸に出す前提でフィットアウトする場合は、過剰投資にならないようベトナムでの賃貸運用(貸し出し)で需要に合った仕様を確認することをおすすめします。
まとめ
ベトナムでのマンション改装は、(1)できる範囲を理解し、(2)BQL承認を必ず先に取り、(3)申請まで担える業者を選び、(4)段階払いと節目検収で遠隔管理する——この4点が成否を分けます。
本記事は一般的な情報提供であり、法務・税務・投資に関する助言ではありません。法令・規約・費用・工期は建物や時期により変動するため、契約前に管理組合(BQL)、内装業者、必要に応じて弁護士・税理士など専門家にご確認ください。
物件選びや引渡し後のフィットアウト、信頼できる内装業者の紹介・現地立会いについては、Happy Land へお気軽にご相談ください(Zalo/WhatsApp対応)。販売中の新築プロジェクトは物件一覧からご覧いただけます。
よくあるご質問
外国人オーナーでも自分のマンションを自由に改装できますか?
間仕切り壁(非耐力壁)の追加・撤去、キッチン・浴室・床・塗装・造作家具といった専有部の内装は基本的に可能です。ただし「自由」ではありません。耐力壁・梁・柱、外壁・バルコニー外観、共用の電気/給排水の配管・スプリンクラー等は変更できず、いずれの工事も着工前に建物の管理組合(BQL=Ban Quản Lý)の承認が必須です。賃貸オーナーが借主に改装させる場合や、自分が居住者として借りている場合も、書面の同意・承認が前提になります。
水回り(キッチン・トイレ)の位置を移動できますか?
専有部内での小規模な変更は可能なこともありますが、共用の排水竪管(パイプスペース)への接続位置を動かす、防水層を壊して床下配管を引き直すといった工事は、漏水・階下被害のリスクが高く、多くの建物で禁止または厳しく制限されます。配管移設は無許可で行うと管理組合とのトラブルや原状回復・損害賠償につながりやすい代表的な失敗例です。必ず事前に図面を提出し、BQLとPCCC(防火)の確認を受けてください。
管理組合(BQL)の工事承認にはどれくらいかかりますか?
構造に手を入れない内装工事であれば、書類一式が揃っていれば目安として3〜7営業日程度で承認が下りるケースが一般的です(建物により異なります)。耐力壁など構造に関わる場合は別途、自治体の建設許可(Giấy phép xây dựng)が必要となり、目安で15〜20営業日以上かかることがあります。期間・必要書類・保証金額は管理規約により大きく変わるため、契約前にBQLへ確認するのが確実です。
内装業者は定額制(ターンキー)と設計施工(デザインビルド)のどちらが良いですか?
海外在住で頻繁に立ち会えないオーナーには、設計から施工・家具まで一括で請け負うデザインビルド/ターンキー(定額一括)が管理の手間と想定外コストを抑えやすく向いています。最初に仕様・金額・工期を固定できる反面、仕様変更(追加工事)は割高になりがちです。価格重視で自分が細かく管理できる場合は分離発注も選択肢ですが、図面・申請・職人管理の責任が増えます。BQL申請を業者が自前で処理できるかも重要な選定ポイントです。
海外に住んだまま施工を任せて大丈夫ですか?
可能です。多くの日系・ローカル業者がビデオ通話・写真共有・LINE/Zaloでの進捗報告に対応しています。リスクを下げる実務として、(1)契約・図面承認・各工程完了に紐づけた段階払い(着手金は抑え、完了検査後に最終金)、(2)解体後・配管後・木工後・引渡し前など節目ごとの写真/動画での検収、(3)現地の信頼できる第三者やHappy Landのような窓口に立会いを依頼、を組み合わせるのが有効です。全額前払いは避けてください。
工事中の騒音や作業時間に決まりはありますか?
多くの建物で管理規約により作業時間が定められ、目安として平日の午前(例:8:00〜11:30)・午後(例:13:30〜17:00)に限定され、特に解体やハツリなど騒音の大きい作業はさらに時間が制限されることがあります。土日祝の作業を禁じる建物も少なくありません。また職人は事前に氏名・身分証(CCCD)・写真で登録が必要で、未登録だと入館できません。違反は工事停止や保証金没収の原因になります。
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