ベトナムの仮住居登録(tạm trú)2026:外国人オーナー・賃借人向け完全ガイド
ベトナムに滞在する外国人には、滞在場所を公安(警察)に届け出る「仮住居登録(đăng ký tạm trú、通称タムチュー/tạm trú)」が法律で義務付けられています。観光で数泊する人からホーチミン市に長く住む駐在員、物件を購入したオーナーまで、ほぼ全員が対象です。意外に見落とされがちですが、届出が漏れているとビザ延長やTRC(一時滞在許可証)申請、将来の不動産売却手続きでつまずく原因になります。本ガイドでは、誰が・いつ・どこで・何を届け出るのかを2026年の最新運用に沿って整理します。
なお本記事は一般的な情報提供であり、法務・行政手続きの助言ではありません。法律・罰金・期限の運用は地域や時期で変動するため、必ず管轄公安・管理会社・専門家や公式情報でご確認ください。
仮住居登録(tạm trú)とは何か:法的根拠
仮住居登録は、外国人が「いま、どこに滞在しているか」を住所単位で公安に申告する制度です。根拠となるのは出入国管理法(法律47/2014/QH13)第33条で、2023年改正(法律23/2023/QH15、2024年施行)で電子化やビザ運用が見直されました。ポイントは、**届出義務を負うのは外国人本人ではなく「宿泊提供者(ホスト/申告責任者)」**だという点です。
宿泊提供者とは、ホテル・ゲストハウス・サービスアパートの運営者、賃貸住宅の家主(または委託された管理会社)、社員寮を用意する企業などを指します。あなたが外国人として**自己所有の物件に住む場合は、あなた自身が「ホスト」**となり、自分の滞在を申告する立場になります。つまり「登録される側」と「登録する側(責任者)」を分けて理解することが重要です。
誰が何をする?責任の整理
滞在形態ごとに「申告する人(責任者)」と「あなたの役割」をまとめます。
| 滞在形態 | 申告する責任者 | あなた(外国人)の役割 |
|---|---|---|
| ホテル・サービスアパート | フロント/運営会社 | パスポート提示のみ(自動で申告される) |
| 賃貸住宅(家主と契約) | 家主または管理会社 | 書類提供・申告されたか確認 |
| 賃貸(管理会社経由) | 管理会社 | 入居時に住所申告を依頼・確認 |
| 自己所有物件に居住 | あなた自身(ホスト) | 自分で公安に申告 |
| 友人・知人宅に滞在 | その家の世帯主 | 世帯主に申告を依頼 |
賃貸契約を結ぶ際は、「家主がtạm trúを申告してくれるか」を契約前に必ず確認してください。家主が非協力的だと、後で居住証明が取れずビザ手続きで困るケースが実際にあります。賃貸運用や貸主側の義務はベトナムでの賃貸運用(貸し出し)も参照してください。
期限:12時間/24時間ルール
申告は到着後すぐが原則です。地域区分による目安は次の通りです(出入国管理法第33条)。
| 区分 | 申告期限の目安 | 該当エリア例 |
|---|---|---|
| 都市部 | 到着後 12時間以内 | ホーチミン市、ハノイ、ダナン |
| 遠隔地・山間部 | 到着後 24時間以内 | 地方省の遠隔コミューン等 |
| 引っ越し・住所変更時 | 都度、新たに申告 | 全国共通 |
ホテルなど宿泊業者は到着時に即オンライン申告するのが通例なので、利用者が意識する必要はほぼありません。注意が必要なのは賃貸入居・引っ越し・知人宅滞在で、住所が変わるたびに新規申告が必要です。期限の運用は時期や地域で変わり得るため、入居前に管理会社や管轄公安に確認しましょう。
2026年最新:登録方法と新統一ポータル
2026年は登録方法に大きな変化がありました。ベトナム公安省は2026年5月21日、外国人の一時滞在申告とベトナム人の宿泊届を一本化した全国統一ポータル(tbltkbtt.bocongan.gov.vn)を稼働させ、従来の省別ポータル(◯◯.xuatnhapcanh.gov.vn)やホテル向けASMソフトを順次廃止しました。2026年6月時点では一部の省・市から段階的に導入が進み、全国展開は7月1日が目標とされています。地域によっては移行期で旧システムが残る場合もあるため、最新の申告先は必ず管轄公安・管理会社に確認してください。
主な申告ルートは次の3つです。
- 新統一オンラインポータル(tbltkbtt.bocongan.gov.vn):宿泊提供者がアカウントを取得して申告。最も主流。
- 窓口での紙申告:区/坊(phường)レベルの公安にNA17様式を提出。オンライン未対応時の確実な手段。
- 国家公共サービスポータル/VNeID等の関連手段:電子化の流れで拡大中。運用は地域差あり。
費用は原則**無料(0ドン)**です。代行業者に依頼すると別途手数料がかかります。
必要書類チェックリスト
申告には宿泊提供者側と外国人側の双方の書類が必要です。
| 提供者 | 必要書類 |
|---|---|
| 外国人(あなた) | パスポート(顔写真ページ+入国スタンプ) |
| 外国人(あなた) | ビザ または TRC(一時滞在許可証)/ビザ免除書類 |
| 住居の証明 | 賃貸契約書 または ピンクブック(所有権証書) |
| ホスト(家主・企業) | NA17様式、家主の身分証/事業登録証 |
自己所有物件に住むオーナーは、住居証明として**ピンクブック(所有権証書)**を使います。購入手続き全体の流れは外国人の購入プロセスにまとめています。
怠った場合:政令282/2025号の罰金
届出を怠ると行政罰の対象です。重要なのは、2025年12月15日施行の政令282/2025/NĐ-CPが従来の政令144/2021を置き換え、居住管理の罰則が再整理された点です。宿泊提供者(家主・ホテル等)が外国人の一時滞在を申告しなかった場合の過料は、対象人数に応じて概ね次の水準が報じられています(金額は変動し得るため目安)。
| 違反内容(宿泊提供者) | 過料の目安 |
|---|---|
| 1〜3名分の未申告 | 約300万〜500万ドン |
| 4〜8名分の未申告 | 約1,000万〜1,500万ドン |
| 9名以上の未申告 | 約1,500万〜2,000万ドン |
| 虚偽申告・期限超過 | 上記に準じて加算 |
罰金は一義的には家主・宿泊提供者に科されますが、未登録は外国人本人にも影響します。ビザ延長・TRC申請・居住証明(tạm trú確認書)の取得、さらには将来の不動産売却手続きで「居住実態の証明」が求められた際につまずく原因になります。なお、TRC自体の期限切れ・オーバーステイには別途、500万〜4,000万ドン規模の重い罰則体系がある点も覚えておきましょう。具体額・区分は変動するため公式情報でご確認ください。
tạm trú と TRC(一時滞在許可証)の違い
混同されやすいので明確に区別します。
| 項目 | tạm trú(仮住居登録) | TRC(一時滞在許可証) |
|---|---|---|
| 性質 | 滞在場所の住所申告 | 滞在を許可する身分証カード |
| 対象 | 観光客含むほぼ全滞在者 | 就労・投資・家族帯同等の要件者 |
| 申告/申請者 | 宿泊提供者(ホスト) | 本人/雇用主・スポンサー |
| 有効性 | その滞在・住所ごと | 1〜10年など(要件次第) |
| 住所変更時 | 都度、再申告が必要 | カードは有効、tạm trúは別途必要 |
つまりTRCを持っていても、住所が変わるたびにtạm trúの申告は別に必要です。TRCや投資による居住の選択肢はベトナムのゴールデンビザと不動産による居住で詳しく解説しています。
不動産オーナー・移住者が押さえる実務
物件を購入して住む予定なら、入居時のtạm trú申告手順を販売会社や管理組合に事前確認しておくとスムーズです。賃貸に出す場合は、自分(貸主)が借主の一時滞在を申告する責任者になる点も理解しておきましょう。移住全体の段取りはホーチミンへの移住:駐在ガイドが役立ちます。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 賃貸入居 | 家主に申告を依頼・申告完了を確認 |
| 物件購入後の居住 | ピンクブックでホストとして自己申告 |
| 賃貸に出す(貸主) | 借主の一時滞在を申告 |
| 引っ越し・出張 | 新住所で都度再申告 |
| ビザ/TRC更新前 | tạm trú確認書を取得しておく |
免責:本記事は2026年6月時点の一般情報であり、法務・税務・行政手続きの助言ではありません。出入国管理法47/2014(23/2023改正)、政令282/2025、PCCC(防火)規定などの運用は地域・時期で変動します。具体的な手続きは管轄公安、管理会社、行政書士等の専門家、または公式情報で必ずご確認ください。
ベトナムでの購入・居住・賃貸運用にあたり、tạm trú申告に協力的な物件選びや手続きの段取りでお困りの際は、Happy Landが日本語でサポートします。お気軽にZalo / WhatsAppでご相談ください。最新の物件は物件一覧からご覧いただけます。
よくあるご質問
仮住居登録(tạm trú)は外国人本人がやるのですか?それとも家主ですか?
原則として「宿泊提供者(申告責任者)」が申告します。ホテルやサービスアパートはフロント/管理会社、賃貸住宅は家主(または管理会社)が公安へ届け出ます。あなたが外国人として自己所有の物件に住む場合は、あなた自身が宿泊提供者(ホスト)として自分の滞在を申告します。法的な届出義務は本人ではなく宿泊提供者側にあるため、賃貸契約時に『家主がtạm trúを申告してくれるか』を必ず確認してください。
登録の期限はどれくらいですか?
目安として、ホーチミン市・ハノイなどの都市部では到着後12時間以内、遠隔地・山間部では24時間以内に管轄公安へ申告するのが原則です(出入国管理法47/2014・第33条)。ホテルなど宿泊業者は即時にオンライン申告するのが通例です。賃貸入居や引っ越しのたびに新たな申告が必要で、期限・運用は地域や時期で変動するため、入居前に家主や管理会社、管轄公安に最新の取扱いを確認してください。
2026年に登録方法が変わったと聞きました。今はどこで登録しますか?
ベトナム公安省は2026年5月21日、外国人の一時滞在申告とベトナム人の宿泊届を一本化した全国統一ポータル(tbltkbtt.bocongan.gov.vn)を稼働させ、従来の旧ポータルやASMソフトを順次廃止しました。2026年6月時点では一部の省・市から段階導入が進み、全国展開は7月1日が目標とされています。地域により旧システムが残る場合もあるため、最新の申告先は管轄公安・管理会社に確認してください。窓口(区/坊レベル公安)での紙申告(NA17様式)も引き続き可能です。
登録しないと(家主が怠ると)どうなりますか?
行政罰の対象です。2025年12月15日施行の政令282/2025/NĐ-CP(従来の政令144/2021を置換)では、宿泊提供者が外国人の一時滞在を申告しなかった場合、対象人数に応じて概ね300万〜2,000万ドン程度の過料が科され得ます。さらに未登録は外国人本人にも影響し、ビザ延長・TRC(一時滞在許可証)申請・居住証明の取得、将来の不動産売却手続きなどで支障が出ることがあります。金額・区分は変動し得るため公式情報の確認を推奨します。
仮住居登録(tạm trú)とTRC(一時滞在許可証)は同じものですか?
いいえ、別物です。tạm trúは『どこに滞在しているか』を公安に届け出る住所申告で、観光客を含むほぼ全ての外国人滞在者が対象です。一方TRC(Temporary Residence Card/Thẻ tạm trú)は、就労・投資・家族帯同などの要件を満たす人に発給される滞在許可カードで、有効期間中はビザなしで滞在・出入国できる『身分証』に近いものです。TRCを持っていても、住所が変わるたびにtạm trúの申告は別途必要です。
不動産を購入したら、自分でtạm trúを登録できますか?
はい。外国人が住宅法に基づき購入した物件(ピンクブック=所有権証書あり)に住む場合、あなた自身がホストとして自分の滞在を申告できます。必要書類はパスポート、ビザまたはTRC、そして所有権証書(ピンクブック)です。賃貸の場合は賃貸契約書が住居証明になります。購入後に居住する予定があるなら、入居時のtạm trú申告手順を販売会社や管理組合に事前確認しておくとスムーズです。
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