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ベトナムの賃貸所得税2026:外国人オーナーの課税(VAT+PIT)と非課税ライン引き上げ

ベトナムでマンションを購入し、自分で住まずに貸し出して家賃収入(インカムゲイン)を得る日本人オーナーが増えています。気になるのが「ベトナム側で賃料にいくら課税されるのか」「自分で申告するのか」「日本の確定申告とどう関係するのか」という点です。本記事では、外国人個人オーナーがホーチミン市などでマンションを賃貸した場合の課税の仕組みを、2026年の制度変更(非課税ラインの大幅引き上げ・事業免許税の廃止)を反映して整理します。

なお本記事は一般的な情報提供であり、法務・税務の助言ではありません。税率・閾値・施行時期は変動し、出典により記述が分かれる論点もあるため、実際の申告前には必ずベトナム・日本双方に詳しい専門家へご相談ください。

個人オーナーの賃料収入にかかる2つの税金(VAT+PIT)

ベトナムで外国人が「個人」として保有するマンションを貸す場合、賃料収入には主に次の2つの税がかかります(みなし税率・直接法の目安)。

税目税率(目安)課税ベース
付加価値税(VAT)5%年間賃料収入(総額)
個人所得税(PIT)5%年間賃料収入(総額)
合計約10%

ポイントは、給与所得のような累進課税ではなく、賃料の「総額」に対する**みなし税率(直接法)**で計算される点です。実費(管理費・修繕費・ローン金利など)を差し引いてから課税されるわけではないため、表面利回りと手取り利回りの差を意識する必要があります。利回りの考え方はホーチミン市の賃貸利回りも参照してください。

居住者・非居住者の区分も重要です。ベトナムでは暦年で183日以上滞在するなどの条件で「居住者」となり、全世界所得が対象になります。一方、海外在住の外国人オーナーは多くの場合「非居住者」で、ベトナム源泉所得(=ベトナム不動産の賃料)が課税対象です。賃貸所得については居住・非居住を問わず、上記のVAT+PITの枠組みで処理されるのが一般的です。

2026年の最重要ポイント:非課税ラインの大幅引き上げ

2026年は外国人オーナーにとって追い風となる改正が重なります。年間賃料収入が一定額(非課税ライン)以下なら、VATもPITもかからないのですが、このラインが段階的に引き上げられました。

時期非課税ライン(年間賃料収入、目安)根拠
2025年末まで約VND1億(≒100百万ドン)従来規定
2026年1月1日〜VND2億(≒200百万ドン)2024年VAT法
改正PIT法による引き上げVND5億(≒500百万ドン)2025年改正個人所得税法

整理すると、2024年VAT法で2026年1月1日からVND2億に引き上げられた後、2025年に成立した改正個人所得税法(2025年12月公布)でVND5億へと引き上げられました。施行時期は、VAT関連規定が2026年1月1日、改正PIT法の全面施行が2026年7月1日で、2026年時点の非課税ラインは年間VND5億です。

つまり、年間賃料がVND5億(為替次第ですがおおむね年300万円前後)を超えない多くの個人オーナーは、ベトナム側で賃貸所得税が実質的にかからない可能性があります。これは中小規模で1〜数戸を貸す日本人オーナーにとって大きな負担軽減です。

ただし、**「閾値を超えた場合に総額に課税されるのか、超過分のみに課税されるのか」**は出典により記述が分かれており、施行細則の整備で運用が固まる論点です。本記事では断定を避けますので、ご自身の収入水準が閾値付近・超過の場合は必ず専門家に確認してください。

簡易試算:年間賃料別のベトナム側課税イメージ

下表はVAT5%+PIT5%=10%を年間賃料総額に単純適用したごく粗い試算です(非課税ライン超過分のみへの課税という解釈や、為替・控除・実際の運用は反映していません)。あくまでイメージとしてご覧ください。

年間賃料収入(目安)非課税ライン(VND5億)との関係ベトナム側課税のイメージ
VND3億(月約250万ドン×12…程度)ライン以下原則 非課税
VND5億ライン上限原則 非課税
VND6億ライン超過課税対象(10%適用なら最大で年VND6,000万程度。超過分のみ課税の解釈なら大幅に少額)
VND12億ライン超過課税対象(10%適用なら最大で年VND1.2億程度。同上)

※VND・円換算は変動します。月額家賃を12カ月分・空室を考慮しない前提の概算です。実際の税額は計算方式と運用次第で大きく変わります。

税番号の取得・申告・代行のしくみ

賃貸を始める外国人オーナーが踏む実務フローは概ね次の通りです。

ステップ内容補足
税番号(MST)取得個人の納税者番号を取得パスポート等が必要。代理取得も可
申告書の準備フォーム01/TTS等を作成オンライン税務ポータルで提出
申告・納税一括または年次で申告期限の目安:一括は受領後10日以内、年次は翌年1月末まで
代行(任意)管理会社・代理人へ委任公証付き委任状で代行可能

個人オーナーの賃貸所得は原則として申告納税です。重要なのは、公証付きの委任状(power of attorney)を作成すれば、管理会社や代理人がオーナーに代わって税番号取得・申告・納税を代行できる点です。海外在住で頻繁に渡航できない日本人オーナーは、賃貸管理とあわせて税務代行を依頼するのが現実的です。具体的な貸し出し実務はベトナムでの賃貸運用(貸し出し)、遠隔管理の段取りは海外からベトナム不動産を管理するで詳しく解説しています。

加えて2026年の朗報として、決議198/2025/QH15により事業免許料(Business License Fee)が2026年1月1日から廃止される方向とされています。これにより賃貸を行う個人・事業世帯が負担する税目はVATとPITの2つに整理される見込みで、手続きが簡素化されます。

個人保有と法人保有の課税の違い

「個人名義で持つか、法人で持つか」で課税の枠組みが変わります。

項目個人保有法人保有(現地法人等)
主な税目VAT5%+PIT5%(直接法・目安)法人所得税CIT(標準20%目安)+VAT(10%目安)
課税ベース賃料総額(実費控除なし)利益(経費・減価償却の控除可)
非課税ラインあり(VND5億目安)なし(事業収益として課税)
事務負担比較的軽い会計・申告の負担が大きい

小規模で1〜数戸を貸す多くの個人オーナーにとっては、非課税ラインの恩恵を受けられる個人保有がシンプルです。一方、複数戸を本格的に賃貸事業として運用する、出口(売却)戦略や相続・事業承継を見据えるといった場合は法人保有が選択肢になります。どちらが有利かは規模・目的・滞在状況により異なり、専門家による設計が前提です。

日本側の論点:全世界所得・日越租税条約・外国税額控除

ベトナムで完結しないのが税金の難しいところです。日本の居住者は原則として全世界所得が日本でも課税対象となるため、ベトナムの賃料収入(不動産所得)も日本の確定申告に取り込む必要が生じ得ます。

ここで効いてくるのが日越租税条約外国税額控除です。ベトナムで納めた税を、日本の税額から一定の範囲で差し引くことで、同じ所得に二重に課税される状態を調整できる場合があります。ただし、日本側での取扱いは居住区分(永住者・非永住者など)や条約の解釈で変わり、ベトナム側の非課税ラインで現地納税がゼロになっても日本側では申告・課税が必要になるケースもあります。

このベトナム側と日本側をつなぐ全体像は、関連ガイドベトナム不動産の所得と日本の税金2026で詳しく整理しています。日越双方に詳しい税理士に、ご自身の居住状況に即して確認することを強くおすすめします。

まとめ:2026年は外国人オーナーに追い風

  • 個人保有の賃料収入は原則 VAT5%+PIT5%(直接法・目安)。
  • 非課税ラインがVND1億→VND2億→VND5億へと大幅に引き上げられ、中小規模オーナーの多くがベトナム側で実質非課税の可能性。
  • 事業免許料は2026年から廃止の方向で、税目はVAT・PITに簡素化。
  • 申告は公証委任状で管理会社等に代行可能。
  • 日本側は全世界所得・日越租税条約・外国税額控除を要確認。

ご注意: 本記事は2026年時点の一般的な情報をまとめたもので、法務・税務の助言ではありません。税率・非課税ライン・施行時期・計算方式は変動し、施行細則の整備で運用が固まる論点も含みます。実際の申告・納税の前には、必ずベトナム・日本双方に詳しい税理士等の専門家にご相談ください。

Happy Landにご相談ください。 ホーチミン市の新築プロジェクト一次販売を手がけるHappy Landでは、購入後の賃貸運用・管理会社の紹介・税務代行のつなぎ込みまで、日本語でサポートします。物件選びから賃貸出口まで、お気軽にZalo/WhatsAppでお問い合わせください。気になる物件は物件一覧からご覧いただけます。

よくあるご質問

外国人がベトナムのマンションを貸すと、賃料にいくら税金がかかりますか?

個人オーナーが居住用物件を貸す場合、ベトナム側では一般に付加価値税(VAT)5%+個人所得税(PIT)5%=合計約10%が、課税対象となる年間賃料収入に対してかかります(直接法・みなし税率の目安で、総額方式・実費控除なし)。ただし年間賃料収入が非課税ラインを下回れば、VATもPITもかかりません。非課税ラインは制度改正で大きく引き上げられており、最新の正確な水準と計算方法は税務専門家に必ず確認してください。

2026年の非課税ライン(閾値)はいくらですか?

段階的に引き上げられています。2025年末まではおおむね年間VND1億(約1億ドン)でした。2024年VAT法により2026年1月1日からVND2億へ、さらに2025年改正個人所得税法によりVND5億へと段階的に引き上げられ、2026年時点の非課税ラインは年間VND5億です(VAT関連規定は2026年1月1日、改正PIT法の全面施行は2026年7月1日)。施行細則の整備状況により適用時期や運用が変わり得るため、最新情報は専門家に確認してください。

税金は自分で申告する必要がありますか。管理会社に任せられますか?

個人オーナーの賃貸所得は原則として申告納税です(申告書フォーム01/TTSをオンライン税務ポータルで提出)。実務では、公証付きの委任状を作成すれば、管理会社や代理人がオーナーに代わって申告・納税を代行できます。海外在住で渡航できない外国人オーナーは、税番号(MST)の取得を含めて代行を依頼するのが一般的です。

個人で保有する場合と法人で保有する場合で税金は違いますか?

はい、課税の枠組みが異なります。個人保有は賃料収入に対するVAT5%+PIT5%(直接法)が基本で、年間非課税ライン以下なら非課税です。一方、法人(ベトナム現地法人など)保有では、賃料は法人の事業収益として法人所得税(CIT、標準20%目安)とVAT(10%目安)の対象となり、経費控除や減価償却が認められる代わりに会計・申告の負担が大きくなります。どちらが有利かは規模・保有目的・出口戦略によります。

ベトナムで納めた税金は日本の確定申告でどうなりますか?

日本の居住者は原則として全世界所得が日本でも課税対象となるため、ベトナムの賃料収入(不動産所得)も日本で申告が必要になり得ます。日越租税条約と外国税額控除の制度により、ベトナムで納めた税を日本の税額から一定の範囲で控除し、二重課税を調整できる場合があります。日本側の取扱いは個人の居住区分や条約解釈で変わるため、日越双方に詳しい税理士へ相談してください。詳しくは関連ガイド「ベトナム不動産の所得と日本の税金2026」も参照ください。

2026年から事業免許税(事業免許料)はかかりますか?

決議198/2025/QH15により、2026年1月1日から事業免許料(Business License Fee)は廃止される方向とされています。これにより、賃貸を行う個人・事業世帯が負担する税目はVATとPITの2つに整理される見込みです。ただし運用は細則の整備状況によるため、申告前に最新の取扱いを確認してください。

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