ベトナムで退職後に暮らす2026:日本人の不動産&生活ガイド
温暖な気候、日本の数分の一とも言われる生活費、活気あるホーチミン市の日本人コミュニティ。退職後の住まいとしてベトナムに惹かれる日本人は確実に増えています。一方で、最初に知っておくべき正直な事実があります。ベトナムにはタイやマレーシアのような専用の「退職ビザ」が存在せず、不動産を買っても自動的に住む権利が得られるわけではありません。本ガイドは2026年版として、夢の部分と現実の手続きの両方を、退職という切り口で一気通貫に整理します。
本記事は退職・移住を検討する日本人向けの一般的な情報であり、法務・税務・移民(入管)の助言ではありません。ビザ・税・相続のルールは変動します。数値や条件はあくまで目安・変動とお考えいただき、行動の前に必ずベトナムの認可を受けた専門家に個別にご確認ください。
なぜ退職後の移住先にベトナムが選ばれるのか
退職後の暮らしにベトナムが候補に挙がる理由は、主に四つに集約されます。
第一に生活費です。後述しますが、ホーチミン市でも月1,000〜2,000米ドル前後で快適に暮らせるレンジがあり、年金や資産を取り崩しながらの生活設計が立てやすいと感じる方が多くいます。第二に医療で、ホーチミン市には英語対応の私立・国際病院があり、日本人向けの医療機関も存在します。第三に気候で、南部は年間を通じて温暖、寒さが体にこたえる年代にとって冬がないことは大きな魅力です。第四にコミュニティで、ホーチミン市1区・2区(タオディエン)・7区(フーミーフン)などには日本人・外国人が多く住み、日本食・日本語サービス・日系クリニックが揃い、孤立しにくい環境があります。
ただし、これらの魅力は「滞在できること」が前提です。そして、その滞在資格こそが日本人がつまずきやすい最大のポイントです。
最重要の現実:ベトナムに「退職ビザ」は無い
2026年半ば時点で、年齢・年金・退職という事実だけを根拠に滞在できる専用ビザは、ベトナムには存在しません。 タイのリタイアメントビザのように「一定の年金収入や預金残高を示せば住める」という制度がないのです。年金証書や預金通帳だけで長期滞在資格が得られると考えると、計画が根本から崩れます。
では退職後に長く住む日本人は、実際に何を使っているのか。現実的な選択肢は次のとおりです。
| 在留資格 | 概要 | 一般的な有効期間(目安・変動) | 退職者にとっての適性 |
|---|---|---|---|
| TT(配偶者)ビザ・在留カード | ベトナム人と婚姻している場合 | 在留カード 最長3年 | 国際結婚した方には最も現実的で安定 |
| DT投資家ビザ(DT1〜DT4) | 登録済みベトナム企業への資本拠出に紐づく | ビザ最長5年/TRC最長10年(階層別) | まとまった資本を投じ事業も行う意思がある人向け |
| 就労(LD)ビザ | 現地企業との雇用契約が前提 | 雇用契約に応じて | 退職後に働かない人には不向き |
| eビザ(観光・商用) | 90日・数次入国。3か月ごとに更新/出入国 | 90日 | 試住・短期滞在向け。「ビザラン」が前提 |
退職後にビジネスを続ける意思がない多くの日本人にとって、最も安定するのはベトナム人配偶者がいる場合のTTビザルートか、現実的にはeビザを更新しながらの半定住です。なお、よく話題になる10年「ゴールデンビザ」は2026年半ば時点でも政府の提案段階にとどまり、申請窓口はありません。提案中の金額(5年で約25万米ドル、10年で約40万米ドルなどと引用される)は公布された法令ではない点に注意してください。実際に施行されたのは5年のタレントビザ(政令221/2025、2025年8月発効)やIFCビザで、いずれも高度人材・金融センター就労向けであり、不動産購入で取得できるものではありません。ビザの機構を深掘りしたい方は、ベトナムのゴールデンビザ・不動産で居住権?で、DTシリーズの資本要件や最新の政令を詳しく解説しています。
退職者は住宅を購入・所有できるのか
結論から言えば、条件を満たせば外国人個人でも対象プロジェクトの区分マンションを購入・所有できます。 ただし、ここでも「購入」と「滞在資格」は完全に別物です。マンションを所有してもビザや居住権は一切付与されません。観光eビザのまま条件を満たすマンションを合法的に購入することは実務上あり得ますが、その購入によって滞在できる期間が延びることはありません。
外国人が住宅を保有する際の基本ルールは次のとおりです。
- 所有形態は50年の所有期間:所有権証明書(ピンクブック)の発行日から起算し、原則1回更新が可能です。古い建物を前の外国人所有者から買う場合、残存期間を引き継ぐ点に注意。
- 外国人所有30%枠:各マンション(1棟)につき外国人が保有できる住戸の割合に上限があり、人気物件では枠が早く埋まります。
- 土地そのものは外国人個人は所有不可:ベトナムの土地は国家管理であり、外国人個人が土地の所有権を持つことはできません。仕組みの全体像は外国人は土地を所有できるかで解説しています。
- ベトナム人配偶者の例外:ベトナム人配偶者の名義や共有を通じて、より広い住宅・土地に関する権利を得られる場合があります。名義・財産分与・離婚時のリスクも含め、事前に専門家へ相談してください。
購入そのものの流れ(購入資格・必要書類・送金・引き渡し)は外国人の購入プロセスに手順ごとにまとめています。
生活費と医療の目安
退職後の家計で核になるのが生活費と医療費です。ホーチミン市での月額生活費は、ライフスタイルによって次のようなレンジが一つの参考になります(家賃・食費・光熱費・保険・娯楽を含む概算、いずれも変動)。
| ライフスタイル | 月額の目安(米ドル) | 主な内訳イメージ |
|---|---|---|
| つつましく | 約760 | 家賃350/食費200/保険70/光熱40/娯楽100 |
| 快適に | 約1,310 | 家賃500/食費350/保険130/光熱80/娯楽250 |
| ゆとりある | 2,420以上 | 中心部の良質な住居・外食・旅行中心 |
医療については、ホーチミン市にFV病院(7区、JCI認証)、Vinmec、Family Medical Practice(1区・2区)など英語対応の私立・国際病院があり、一般診療は1回80〜110米ドル程度が目安です。日本のような国民皆保険の恩恵は受けられないため、高額になりがちな手術や医療搬送に備え、**外国人向けの民間医療保険(年間525米ドル前後〜、年齢・持病で変動)**への加入が強く推奨されます。年金生活で固定収入が限られる退職世代こそ、保険は必須と考えてください。生活費の詳細な内訳はホーチミン市の生活費2026をご覧ください。
退職者に向くエリアと、購入 vs 長期賃貸
エリア選びでは、日本人退職者には次の傾向があります。
- 7区フーミーフン:計画都市で歩道が広く静か、日系スーパー・クリニック・日本食が充実。落ち着いた老後に人気。
- 2区タオディエン:緑が多く外国人コミュニティが濃い。カフェ・国際病院に近い。
- 1区中心部:利便性最優先派向け。やや賑やかで家賃は高め。
- 9区ビンホームズ系大型開発:公園・施設が敷地内に揃い、比較的手頃なモダン住宅。月760米ドル台のつつましい生活も可能。
購入と長期賃貸の比較は、退職後の意思決定で最も悩むところです。
| 観点 | 長期賃貸 | 50年所有期間で購入 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低い(敷金数か月) | 高い(物件価格全額+諸費用) |
| 為替リスク | 抑えやすい | 一括で大きく受ける |
| 身軽さ/撤退 | 高い(ビザ更新前提に合う) | 低い(売却に手間と時間) |
| 資産性 | 残らない | 残るが50年所有期間・売却制約あり |
| 向いている人 | 試住・数年・様子見 | 10年以上の定住意思が固い人 |
退職直後やビザを試行錯誤する段階では、まず長期賃貸が無難です。エリアの肌感や家賃動向を見ながら、自分に合う暮らしを見極められます。一方、定住意思が固く為替・資産分散の観点で納得できるなら購入も選択肢ですが、所有期間(50年)がビザの長さを保証するものではない点は繰り返し強調しておきます。
相続・資産承継で見落としがちな点
退職後に購入を考えるなら、自分に万一があったときの承継も併せて設計すべきです。有効な所有権証明書を持つマンションは、売却・賃貸・相続が可能です。ただし外国人の相続人が住宅所有の条件を満たさない場合、現物の所有ではなく「資産価値(売却代金)」の受け取りになることがあります。手続きには死亡証明・相続資格を示す書類のアポスティーユ/領事認証と、ベトナム語への公式翻訳が必要です。
さらに、2026年1月施行の個人所得税法では、ベトナム居住者個人の相続について、1回あたり2,000万VND超の部分に10%課税という規定があります(対象・税率は変動の可能性あり)。日本の相続税・国際私法との関係も絡むため、遺言の作成や名義の整理は、必ず日越双方に明るい専門家に相談してください。
退職移住・準備チェックリスト
行動に移す前に、最低限これらを確認しておくと安心です。
- 自分が使える在留資格(TT/DT/eビザ等)を入管専門家に確認した
- 「不動産購入≠居住権」を理解し、ビザは別途手配する前提で計画している
- 月額生活費の現実的な予算(為替変動込み)を立てた
- 外国人向け民間医療保険の見積もりを年齢・持病込みで取得した
- 試住として長期賃貸から始めるか、購入かを決めた
- 購入する場合、対象プロジェクト・外国人30%枠・所有期間を確認した
- 相続・遺言・名義(配偶者がいる場合)の方針を専門家と整理した
- 日本側の年金・税・住民票/非居住者扱いの手続きを確認した
退職後のベトナム暮らしは、夢と手続きの両輪が噛み合って初めて実現します。本記事は一般的な情報であり、法務・税務・移民(入管)の助言ではありません。ビザ・税・相続のルールは変わりやすいため、数値や条件は目安・変動とお考えいただき、必ず認可を受けた入管弁護士・税理士・国際私法の専門家に個別にご相談ください。
不動産探しと滞在計画を「二つの別プラン」として整理したい方は、ハッピーランドのアドバイザリーチームにお気軽にご相談ください。Zalo / WhatsApp から日本語でお問い合わせいただけます。退職後の予算・エリア・購入vs賃貸まで、現実的な選択肢を一緒に整理します。まずは物件一覧で、フーミーフンやタオディエン、9区の大型開発など、退職後の暮らしに合いそうな住まいを眺めてみてください。
よくあるご質問
ベトナムには退職者(リタイア)向けの専用ビザはありますか?
2026年半ば時点で、年齢・年金・退職という事実だけを根拠にした「退職ビザ」はベトナムには存在しません。タイやマレーシアのようなリタイアメントビザの制度がないため、年金額や預金額を示すだけで長期滞在資格が得られるわけではない、という点が日本人がまず誤解しやすいポイントです。実際には、ベトナム人配偶者がいる場合のTT(配偶者)ビザ、DT投資家ビザ、就労ビザ、または90日のeビザを更新し続ける方法など、別の在留資格を組み合わせて滞在します。なお話題の10年「ゴールデンビザ」は2026年半ば時点でも提案段階で、申請窓口はありません。これは一般的な情報であり、移民・法務の助言ではありません。最新の運用は認可を受けた入管弁護士にご確認ください。
退職後にベトナムで不動産(マンション)を買って所有できますか?
はい、条件を満たせば外国人個人でも対象プロジェクトの区分マンションを購入できます。所有形態は通常50年の所有期間(原則1回更新可能)で、各建物には外国人所有30%枠などの上限があります。土地そのものは外国人個人は所有できません。重要なのは、マンションを所有してもビザや居住権は付与されないことで、購入(資産)と滞在資格(在留)はまったく別の手続きです。観光eビザのまま購入し、長期滞在のビザは別途手配する、という形も実務上あり得ます。
退職後にベトナムで暮らす生活費はどのくらいですか?
ホーチミン市の場合、一般的な目安として、つつましく暮らすなら月760米ドル前後、快適なら月1,300米ドル前後、ゆとりある暮らしなら月2,400米ドル以上、というレンジが一つの参考になります(家賃・食費・光熱費・保険・娯楽を含む概算)。エリア・住居グレード・外食頻度で大きく変わるため、あくまで変動する目安です。詳しい内訳はホーチミン市の生活費ガイドをご覧ください。
ベトナムの医療は退職後の生活に耐えられますか?健康保険はどうすべき?
ホーチミン市にはFV病院(7区)、Vinmec、Family Medical Practiceなど、英語対応の私立・国際病院があり、日本人向けの医療機関もあります。一般診療は1回80〜110米ドル程度が一つの目安です。ただし高額になりがちな手術や医療搬送に備え、外国人向けの民間医療保険(年間525米ドル前後〜、年齢で変動)への加入が強く推奨されます。費用・補償は年齢や持病で変わるため、必ず個別に見積もりを取ってください。
退職後は購入と長期賃貸のどちらがよいですか?
短期〜数年の試住や、円安・為替変動のリスクを抑えたい段階では、まず長期賃貸が無難です。家賃の動きを見ながら自分に合うエリアを見極められ、ビザ更新が前提のベトナムでは身軽さも利点になります。一方、長期(10年以上)の定住意思が固く、為替や資産分散の観点から納得できるなら、50年所有期間のマンション購入も選択肢です。所有期間がビザの長さを保証するものではない点に注意してください。
自分が亡くなった後、ベトナムの不動産は相続できますか?
有効な所有権証明書を持つマンションは、売却・賃貸・相続が可能です。ただし外国人の相続人が住宅所有の条件を満たさない場合、現物の所有ではなく「資産価値(売却代金)」の受け取りになることがあります。書類はアポスティーユ/領事認証とベトナム語への公式翻訳が必要です。さらに2026年1月施行の個人所得税法では、ベトナム居住者個人の相続について、1回あたり2,000万VND超の部分に10%課税という規定があります。相続は国際私法・税が絡むため、必ず専門家にご相談ください。
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