外国人がベトナムの不動産を売却する2026:手続き・税金・送金
ベトナムでマンションを買った外国人(駐在員・投資家・移住者)がいつか必ず向き合うのが「出口」、つまり売却です。買うときの情報は多い一方、「誰に売れるのか」「税金はいくらか」「売却代金を日本に送れるのか」という売却側の実務は意外と語られていません。本記事は2026年現在のホーチミン市の実情に沿って、手続き・税金・海外送金までを一本のタイムラインで整理します。なお記載の金額・税率はすべて目安であり、制度・運用は変動します。これは一般情報であり、法務・税務助言ではありません。
まず「誰に売れるか」を確認する
外国人がベトナムで保有する住宅は、ベトナム人にも、条件を満たせば他の外国人にも売却できます。ここは2023年住宅法(Housing Law 2023)以降の運用で出口の流動性が改善したポイントです。かつては実務上「ベトナム人にしか売りにくい」とされていましたが、現在は外国人から外国人への転売が認められています。
ただし外国人に売る場合は、その建物(ブロック)の 外国人所有30%枠 に空きがあることが前提です。人気物件で枠が埋まっていると、買い手は事実上ベトナム人に限られます。さらに転売で外国人が買う場合、買い手は 残りのリース期間を引き継ぐ(新たに50年もらえるわけではない)点が価格に影響します。築年が進んだ物件ほど、この残存期間が価格交渉の論点になります。
| 売却先 | 可否 | 主な条件・注意点 |
|---|---|---|
| ベトナム人(個人) | 可 | 最も買い手の母数が大きい。枠の制約なし |
| 他の外国人 | 条件付きで可 | その建物の外国人30%枠に空きが必要。残存リース期間を承継 |
| ベトナム法人 | 可 | 用途・登記要件を要確認 |
税金:欧米型のキャピタルゲインとは違う
ベトナムの個人の不動産譲渡には、欧米のような「利益(キャピタルゲイン)への課税」ではなく、譲渡価格に対して一律2%の個人所得税(PIT) がかかるのが一般的です。つまり利益が出ていなくても、極端には損していても、契約上の譲渡価格の2%が課税対象になります。非居住者は源泉徴収の形で差し引かれます。
注意点として、法人名義で保有している場合はこの2%ではなく法人税(純利益への課税)の扱いとなり、計算が大きく変わります。個人保有か法人保有かで出口の税負担は別物だと考えてください(いずれも目安・変動)。購入時の税・諸費用と合わせた全体像は購入時の税金と諸費用も参照してください。
公証・名義移転・仲介手数料
買い手が決まったら、売主・買主の双方が 公証役場(Notary) に出向き、公証人立ち会いのもとで売買契約の署名と名義移転を行います。新築の転売(ピンクブック前)ではデベロッパーでの契約名義変更、ピンクブック取得後であれば登記の名義移転が中心になります。
日本人売主の場合、パスポートに加えて戸籍謄本・住民票・(必要に応じ)独身証明などの 日本書類に領事認証とベトナム語翻訳 が求められることがあり、この準備に時間がかかります。仲介を使う場合の手数料は成約価格の数%程度が目安で、交渉の余地があります。
| 費用項目 | 目安(変動します) | 負担者(慣行) |
|---|---|---|
| 個人所得税(PIT) | 譲渡価格の 2% | 売主(契約で調整可) |
| 仲介手数料 | 成約価格の数%程度 | 売主 |
| 公証費用 | 実費 | 当事者で取決め |
| 書類の認証・翻訳 | 実費 | 売主 |
| 登録・印紙等の実費 | 案件により発生 | 契約による |
売却代金を日本へ送る(外貨規制)
ここが日本人にとって最大の関門です。ベトナムは外貨管理が厳格で、売却代金を国外へ送るには、銀行に対して (1)納税の証拠(2%のPIT等を納めた納税証明) と (2)購入時に正規の銀行ルートで資金を持ち込んだ記録 を示す必要があります。
つまり「出口」は購入時から始まっています。購入代金を非正規ルート(現金手渡し・第三者名義など)で入れていると、売却益の海外送金が認められなかったり大幅に遅れたりします。原則として 購入時に使った銀行ルート/口座を通して 出すのが基本で、VND→USD→JPYと段階的な両替・送金になるのが一般的です。具体的な手順と必要書類は不動産売却資金の海外送金、購入時の送り方は購入資金の送金方法で詳しく解説しています。
出口までのタイムライン(目安)
- 価格設定と外国人枠の確認(枠が埋まっていれば買い手はベトナム人中心)
- 買い手探し・価格交渉(市況次第で期間は大きく変動)
- 手付金受領(売却価格の5〜10%が目安)
- 公証役場で売買契約・名義移転(双方出席)
- 残代金受領 → 2%のPIT納付 → 納税証明の取得
- デベロッパー/登記での名義変更の完了
- 銀行で書類を揃えて海外送金
事務手続き自体は数週間〜数か月が目安ですが、書類の認証・翻訳や納税証明の取得に追加の時間がかかります。出口を急ぐなら逆算してスケジュールを組んでください。なお、売らずに貸す選択肢を比較したい場合はホーチミン市の賃貸利回りも参考になります。
よくある落とし穴チェックリスト
| 落とし穴 | なぜ問題か | 対策 |
|---|---|---|
| ピンクブック取得前に売ろうとする | プロジェクトによっては契約で転売を制限 | 購入時に「ピンクブック前でも譲渡可か」を契約・デベロッパーに確認 |
| 外国人に売れると思い込む | 30%枠が満杯だと外国人へは売れない | 売る前に建物の外国人枠の空きを確認 |
| 残存リース期間を価格に織り込まない | 買い手は残り期間しか承継しない | 築年・残存期間を前提に価格設定 |
| 購入時の送金トレイルがない | 売却代金の海外送金が滞る | 購入時から正規の銀行ルート・資本口座を使い記録を残す |
| 納税前に送金しようとする | 納税証明がないと送金不可 | 先に2%PITを納め、証明を取得 |
| 日本書類の認証・翻訳を後回し | 名義移転が止まる | 早めに領事認証とベトナム語翻訳を準備 |
本記事は2026年時点の一般情報であり、法務・税務の助言ではありません。税率・手数料・送金要件は制度改正や物件・銀行ごとの運用で変わります。実際の売却前には、ベトナムの弁護士・税理士、および購入時に使った銀行に必ずご確認ください。
ホーチミン市での売却の出口設計(外国人枠の確認、税・送金の段取り、買い手探し)について個別に相談したい方は、Happy Landが一次販売の現場知見をもとにサポートします。Zalo / WhatsApp でお気軽にお問い合わせください。最新の在庫やエリア感をつかみたい方は物件一覧もご覧ください。
よくあるご質問
外国人はベトナムの物件を誰に売れますか?ベトナム人だけですか?
ベトナム人にも、条件を満たせば他の外国人にも売却できます。2023年住宅法(Housing Law 2023)の運用下では外国人から外国人への転売が認められており、これは旧来「ベトナム人にしか売れない」とされていた時代より出口の流動性が改善しています。ただし外国人に売る場合は、その建物・ブロックの『外国人所有30%枠』に空きがあることが前提です。枠が埋まっている人気物件ではベトナム人にしか売れないケースがあり、これが実質的な買い手の制約になります。最新の枠状況は物件ごとに異なるため、売却前にデベロッパー/管理会社へ確認してください。
譲渡税は『利益』にかかるのですか、それとも『売却価格』にかかるのですか?
ベトナムでは欧米型のキャピタルゲイン税(利益への課税)とは異なり、個人の不動産譲渡には『譲渡価格』に対して一律2%の個人所得税(PIT)がかかるのが一般的です(目安・制度は変動)。つまり売却益が出ていなくても、極端には損していても、契約上の譲渡価格の2%が課税対象になります。非居住者の場合は源泉徴収の形で差し引かれます。法人名義で保有している場合は2%ではなく法人税(利益課税)の扱いとなり計算が異なります。
ピンクブック(所有権証明)がまだ出ていなくても売却できますか?
プロジェクトによります。ピンクブック未交付でも、デベロッパーでの『売買契約の名義変更(譲渡)』という形で転売できる物件もありますが、一方で『ピンクブックが出るまで第三者への譲渡を認めない』と契約で定めているプロジェクトもあります。外国人向けピンクブックは発行に1〜2年以上かかることも珍しくないため、出口を急ぐ場合は購入時点で『ピンクブック前でも譲渡可か』を契約書とデベロッパーに必ず確認しておくのが安全です。
売却代金を日本へ送金できますか?外貨規制は問題になりますか?
原則として送金は可能ですが、ベトナムの外貨管理規制により手続きは厳格です。送金前に『納税証明(2%のPIT等を納めた証拠)』と『購入時に正規の銀行ルートで資金を持ち込んだ記録(送金履歴・資本口座等)』を銀行に示す必要があります。購入時に送金トレイルを残していないと、売却益の海外送金が滞ることが最大の落とし穴です。詳細は購入時に使った銀行と現地税理士に事前確認してください。
売却にかかる費用は全部でどれくらいですか?
主な費用は、個人所得税(譲渡価格の2%)、仲介手数料(成約価格の数%程度・交渉次第)、公証費用(実費)、書類の領事認証・ベトナム語翻訳費などです。状況により登録・印紙関連の実費が加わります。いずれも目安であり、物件価格・契約条件・その時点の規定で変動します。手取りを正確に把握するには、署名前に税理士へ試算を依頼することをおすすめします。
売却にはどのくらい時間がかかりますか?
買い手探しの市況次第で大きく変わりますが、買い手が決まってからの事務手続き(公証での名義移転、納税、デベロッパー/登記の名義変更)は数週間〜数か月が目安です。これに加えて、日本書類の領事認証・翻訳の準備期間、そして売却後の海外送金に必要な納税証明の取得にも時間がかかります。出口を計画する際は、買い手探しとは別に事務処理のリードタイムを見込んでおきましょう。
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