ベトナムでマンション(コンドミニアム)を買うとき、外国人オーナーが見落としがちなのが「購入後にずっとかかるお金」です。物件価格・VAT・登録料といった購入時コストばかりに目が向きますが、実際に毎月・毎年あなたの手取りを削るのは、管理費・駐車場代・光熱費、そして引渡し時に一度だけ払う「2%修繕基金」です。
本ガイドでは、2026年現在のホーチミン市を前提に、これら保有(ランニング)コストをグレード別の目安つきで正直に整理し、賃貸利回りへの織り込み方まで示します。
保有コストは
ベトナムのマンション保有費を理解する第一歩は、よく混同される2つの費用をはっきり分けることです。日本語の記事ではどちらも「管理費」「修繕費」と訳され、しばしば取り違えられます。
- 月額の管理費(phí quản lý / phí dịch vụ vận hành) — 警備・清掃・エレベーター運転・共用部の光熱費・管理スタッフ人件費など、日常運営に充てる毎月の費用。使用面積1平米あたりの単価で課金されます。
- 2%修繕基金(kinh phí bảo trì、通称 phí bảo trì 2%) — 住戸価格(VAT抜き)の2%を、引渡し時に一度だけ支払う積立金(シンキングファンド)。エレベーター更新・外壁・屋上防水・共用設備の大規模修繕など、長期の共用部修繕に使います。
法律上、この2つはまったく別会計です(ベトナム語でも「phí quản lý と phí bảo trì 2% は完全に別個の費用」と明記されます)。毎月の管理費が足りないからといって2%基金を取り崩すことはできず、その逆もできません。外国人オーナーはこの区別を押さえておくと、見積書やデベロッパーの説明を正しく読めます。
毎月の
管理費は「使用面積 × ㎡単価」で決まります。ここでの面積は内法(thông thủy)、つまり壁の内側の実使用面積で計算するのが原則です。単価はプロジェクトのグレードと施設の充実度で大きく変わります。
2026年のホーチミン市での目安レンジは次のとおりです(複数の市場ソースを総合した推定。物件により大きく異なります)。
| 普及帯(bình dân) | 警備・清掃・共用部最低限の維持 | ||
| 中級(trung cấp) | 上記+エレベーター・植栽・基本施設 | ||
| 高級(cao cấp) | 上記+プール・ジム・24時間警備・受付 | ||
| 超高級(siêu cao cấp) | コンシェルジュ・高水準セキュリティ・充実施設 |
管理費に一般的に含まれる
重要な注意点として、住戸を使っていなくても(空室・未入居でも)管理費の支払義務は生じます。「まだ住んでいないから払わない」は通りません。海外在住の外国人オーナーは、引渡し直後から管理費が発生する前提で資金計画を立てましょう。
2%修繕基金(phí bảo trì):誰が
2%修繕基金は、住戸価格(VAT抜き)の2%を引渡し時に一度だけ支払う積立です。たとえばVAT抜き40億ドンの住戸なら8,000万ドンが目安になります。これは年間費用ではなく一回限りの「資本」ですが、まとまった額なので購入予算に必ず織り込んでください。
使途は共用部の大規模修繕・更新です。エレベーターの更新、外壁・屋上の防水、共用配管・ポンプ・発電機などの計画的な交換に充てられ、日常清掃や警備のような運営費には使いません(それは月額管理費の役割)。
管理は次の流れで行われます。まずデベロッパーが基金を一旦預かり、その後入居者総会(hội nghị nhà chung cư)で選出された管理組合(Ban quản trị)
中古(転売)で買う場合は、管理組合がすでに発足しているか、2%基金が適切に引き渡され残高が確認できるかを、購入前にチェックすると安全です。
駐車場代・光熱費・
管理費・修繕基金のほかにも、保有していると毎月かかる費用があります。これらは管理費とは別建てが原則です。
- 駐車場代
— バイクは月およそ10 万〜 20万ドン。車(自動車)は立地差が大きく、郊外で月約120万〜 250万ドン、1区など中心部の地下駐車場では月約400万〜 500万ドンに達することもあります。料金はデベロッパーと管理組合の取り決めで決まり、車の台数枠に上限がある物件も多いので、車を持つなら契約前に空き状況と月額を必ず確認してください。 - 電気・水道(各戸) — 使用量に応じた実費。賃貸に出す場合は通常、入居者負担にできます。
インターネット・ — 物件により 火災・財物保険 — 任意ですが、 - 修繕・家具の更新 — 家具付きで貸すホーチミンでは、家具は消耗品として実コストになります。
下表は、これら継続コストを年額の概算でまとめたチェックリスト兼試算表
| 空室でも発生 | |||
| バイク駐車(1台) | 台数枠に注意 | ||
| 立地差が大きい | |||
| 共用外の各戸光熱・通信 | 変動 | 変動 | 賃貸時は入居者負担化が一般的 |
| 修繕・家具更新の引当 | — | 家具付き賃貸で重要 | |
| 2%修繕基金 | — | 引渡し時に一度(価格の2%) | 年額ではなく初期資本 |
管理組合(Ban quản trị)と
月額管理費の単価や駐車場代、各種ルールは、最終的には入居者総会と管理組合(Ban quản trị)が、管理会社・デベロッパーと協議して決めます。総会は管理組合を選び、管理組合が管理会社を選任・監督し、2%基金の口座を管理する、という建て付けです。ハノイのように自治体が管理サービス費の上限枠(khung giá)を告示している地域もありますが、実際の金額は施設水準で枠内でも大きく開きます。
外国人オーナーにとっての実務ポイントは2つです。第一に、自分も管理費の負担者であり、原則として総会で意見を述べる権利があること(ただし建物全体で外国人所有は30%上限のため、議決での影響は限定的なこともあります)。第二に、デベロッパー直営期と組合発足後で管理品質や費用が変わりうること。
中古購入時は、管理組合の有無・直近の総会議事・管理費の改定履歴・2%基金の残高を確認すると、将来の値上げや紛争リスクを読みやすくなります。海外から保有する場合の体制づくりは、海外からベトナム不動産を管理するが参考になります。
これらを
保有コストは、エージェントが提示するグロス(表面)利回りを、実際の手取りであるネット(実質)利回り
実務では、購入前に「年間管理費+駐車場(オーナー負担分)+修繕引当」を年額で見積もり、想定賃料から差し引いてネット利回りを計算してください。詳しいシミュレーションの考え方はホーチミン市の賃貸利回りを、賃料への費用転嫁や管理委託のコツはベトナムでの賃貸運用(貸し出し)をご覧ください。
なお、購入時に一度だけかかる税・諸費用(VAT・登録料・2%修繕基金など)の全体像は購入時の税金・諸費用で詳しく整理しています。本記事はあくまで「購入後の保有コスト」に絞っています。
まとめ
ベトナムのマンション保有コストは、(1)毎月の管理費(グレード別の㎡単価)、(2)引渡し時に一度払う2%修繕基金、(3)駐車場代・光熱費・修繕引当の3層で考えると整理できます。用語(phí quản lý と phí bảo trì)を取り違えず、空室でも管理費がかかる点、駐車場代が別建てで立地差が大きい点を押さえれば、表面利回りに惑わされず現実的な手取りで判断できます。
本記事は一般情報であり、法務・税務の助言ではありません。法令・金額は変動するため、ご自身の物件については必ずベトナムの不動産・税務・法務の専門家にご確認ください。 具体的な物件の管理費・駐車場枠・2%基金の状況を確認し、保有コスト込みのネット利回りを一緒に試算したい方は、Happy LandへZalo / WhatsAppでお気軽にご相談ください。厳選した物件一覧もあわせてご覧いただけます。
よく
ベトナムの
2%修繕基金(phí bảo trì)とは
修繕基金(kinh phí bảo trì、通称2%基金)は、住戸価格(VAT抜き)の2%を引渡し時に一度だけ支払う積立金で、エレベーター更新・外壁・屋上防水・共用設備の大規模修繕など共用部の長期修繕に充てられます。一方、月額の管理費(phí quản lý/phí dịch vụ)は警備・清掃・エレベーター運転・共用部光熱費など日常運営に使う別会計です。両者は法律上まったく別の費用で、混同しないことが大切です。
2%修繕基金は
外国人
はい。管理費・サービス費・2%修繕基金・駐車場代などの保有コストは、外国人もベトナム人と同条件で負担します。さらに、住戸を使っていない・空室であっても管理費の支払い義務は生じます。海外在住で実物を見ない外国人オーナーほど、これら継続コストを賃料から差し引いて手取り利回りを見積もることが重要です。