ベトナムでマンションなどの不動産を保有し、賃料を得たり将来売却したりする日本人投資家が増えています。このとき見落とされがちなのが「ベトナムで税金を払えば終わり」ではなく、日本に住む人(居住者)はベトナムの所得も日本で申告する必要があるという点です。本記事は2026年時点の一般情報として、賃料収入・売却益にかかる日本側の税務、二重課税を調整する外国税額控除、近年規制された減価償却スキーム、国外財産調書までを一気通貫で整理します。
なお本記事は一般的な情報提供であり、法務・税務の助言ではありません。税額・税率・期限はいずれも目安であり変動します。実際の申告は必ず税理士などの専門家にご相談ください。
なぜ
日本の所得税法上、「居住者」(国内に住所がある、または1年以上居所がある人)は、国内で生じた所得も国外で生じた所得も、すべて日本で課税されるという「全世界所得課税」が原則です(非永住者には一部例外あり)。
つまり、ベトナムのマンションから賃料を得れば、その賃料はベトナムでベトナムの税金がかかるだけでなく、日本でも「不動産所得」として申告対象になります。売却益も同様に、日本では「譲渡所得」として扱われます。
ここで生じるのが二重課税の問題です。同じ所得にベトナムと日本の両方で課税されると負担が重くなりすぎるため、日本側で外国税額控除という調整の仕組みが用意されています(後述)。まずはベトナム側で何にいくら課税されるかを押さえましょう。
ベトナム側で
ベトナムの不動産にかかる主な個人課税は以下のとおりです。いずれも制度・税率は変わり得るため目安としてご覧ください。物件購入時の費用全般は購入時の税金と諸費用、売却時のベトナム側手続きは外国人がベトナムの不動産を売却する2026で詳しく解説しています。
| 賃料収入 | 個人所得税(PIT)5% + 付加価値税(VAT)5% | 年間賃料収入が概ね1億ドン(目安・約50万円相当)以下なら非課税ラインに該当する場合あり |
| 保有中 | 土地使用に関する税等(少額) | 区分所有マンションでは負担は限定的なことが多い |
| 売却(譲渡) | 個人所得税 売却価格の2% | 利益ではなく売却価格に対して源泉的に課税されるのが特徴 |
ベトナムの売却課税は「利益×税率」ではなく「売却価格×2%」で計算されるのがポイントです。利益が小さくても課税され、逆に大きな利益が出ても2%で済むという、日本とは発想が異なる仕組みです。この差が、後述する外国税額控除の限度額計算で効いてきます。
賃料収入は
ベトナム不動産の賃料は、日本では不動産所得に区分され、給与所得や事業所得などと合算して累進税率で課税される「総合課税」の対象です。日本の確定申告では、円換算した賃料収入から、管理費・修繕費・固定的な経費・減価償却費などの必要経費を差し引いて所得を計算します。
- 円換算が必要:ベトナムドン建ての収入・経費は、原則として取引日の為替レート等で円に換算します。
- 赤字(損失)の扱いに注意:海外中古建物の減価償却で意図的に赤字を作る節税は、現在大きく制限されています(後述)。
- 証憑の保管:ベトナム側で源泉・納税された個人所得税の証明書類は、外国税額控除に必須です。
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売却益は
居住者がベトナム不動産を売却して利益が出た場合、日本では譲渡所得として課税されます(国税庁タックスアンサーNo.3560)。国内不動産と同じく、所有期間が5年超なら長期・5年以下なら短期に区分され、長期のほうが税率は低く設定されています(税率は目安・変動)。
売却代金を日本へ送るプロセスは税務とは別の論点ですが密接に関わります。送金規制・実務は不動産売却資金の海外送金をご覧ください。
二重課税を
日本とベトナムは日越租税条約を締結しており、同じ所得への二重課税を緩和する枠組みがあります。実務の中心となるのが外国税額控除で、ベトナムで適正に納めた所得税相当額を、日本の所得税・住民税から一定の限度額まで差し引ける制度です。
ポイントは「払った外国税が全額そのまま戻るわけではない」ことです。控除には限度額があり、ざっくり次のイメージで計算されます(正確な算式は政令に基づきます)。
外国税額控除の
ベトナムの売却課税は「売却価格×2%」と独自の課税ベースのため、日本側の譲渡所得(利益ベース)と課税の土台がずれます。その結果、ベトラムで払った税のうち日本で控除しきれない部分が出たり、逆に控除枠が余ったりすることがあります。控除の適用には、外国所得税を課されたことを証する書類の添付・保管が必須です。
注意1:海外
かつて「築古の海外中古建物を簡便法で短期償却し、大きな減価償却費で不動産所得を赤字にして給与所得と損益通算する」という節税が広まりました。これは令和2年度税制改正で封じられています。
具体的には、2021年(令和3年)以後、国外中古建物から生じる不動産所得の損失のうち、簡便法等による減価償却費に対応する部分は「生じなかったもの」とみなされ、給与所得などとの損益通算ができなくなりました(国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例)。
ただし、この通算できなかった損失額は失われるわけではなく、その物件を売却する際の譲渡所得の計算で取得費の調整として考慮される扱いがあります。「節税商品」としての海外中古不動産は、現在は前提が大きく変わっている点を理解しておく必要があります。
注意2:国外財産調書・
| 国外財産調書 | 居住者(非永住者を除く)で、12/31時点の国外財産の合計が5,000万円超 | 翌年6月30日(令和7年分は令和8年6月30日) |
| 財産債務調書 | 一定の所得・財産規模(所得2,000万円超かつ財産3億円以上 等)の要件に該当 | 翌年6月30日 |
ベトナムの不動産は国外財産調書の対象財産に含まれます。未提出や虚偽記載には加算税の加重や罰則の規定があり、近年は税務当局の国外資産把握も強化されています。複数物件や高額物件を保有する場合は特に注意してください。
日本×ベトナムの
賃料・売却それぞれで、どちらの国で何が起きるかを整理すると次のとおりです(すべて目安・変動)。
| 賃料収入 | PIT5%+VAT5%(非課税ラインあり) | 不動産所得として総合課税・確定申告 |
| 売却益 | 売却価格×2%の個人所得税 | 譲渡所得(長期/短期で税率差) |
| 二重課税の調整 | (源泉・納税の証憑を発行) | 外国税額控除で日本側から差し引き |
| 為替 | ドン建て | 円換算が必要(為替差損益に注意) |
| 財産報告 | — | 国外財産調書(5,000万円超) |
| 専門家 | 現地会計事務所 | 日本の税理士(国際税務に明るい人) |
申告前の
自分は ベトナム側で を ドン建ての したか 賃料は 減価償却による 国外財産が 5,000万円 を 外国税額控除の と
まとめと
ベトナム不動産は、ベトナムで税金を払えば日本では何もしなくてよい、というものではありません。居住者は賃料も売却益も日本で申告し、ベトナムで納めた税は外国税額控除で調整するのが基本線です。一方で、減価償却を使った節税は制限され、国外財産調書などの報告義務も加わっています。
本記事は2026年時点の一般情報であり、法務・税務の助言ではありません。税率・金額・期限は変動し、個別事情で結論が変わります。実際の申告にあたっては、国際税務に詳しい税理士へ必ずご相談ください。
物件選びや、賃貸運用・将来の売却を見据えたベトナム不動産そのもののご相談は、Happy LandへZalo / WhatsAppでお気軽にどうぞ。日本語で対応し、信頼できる現地・日本の専門家のご紹介もサポートします。まずは物件一覧から、利回りや出口戦略を一緒に考えていきましょう。
よく
ベトナムの
日本の「居住者」は国内外すべての所得が課税対象(全世界所得課税)です。ベトナム不動産の賃料は日本では不動産所得として、給与など他の所得と合算する総合課税の対象になり、原則として確定申告が必要です。ベトナム側で5%の個人所得税が源泉されていても、それで日本の申告が免除されるわけではありません。最終的な要否はご自身の所得状況によるため、税理士にご確認ください。
ベトナムと
ベトナムで賃料に対し約5%、売却に対し売却価格の約2%(いずれも目安・変動)が課税され、同じ所得が日本でも課税されると二重課税が生じます。これを調整するのが外国税額控除で、ベトナムで適正に納めた税を日本の所得税・住民税から一定の限度額まで差し引けます。日越租税条約と国内法に基づく仕組みで、全額が必ず戻るとは限らず限度額計算があります。
「海外
令和2年度税制改正により、2021年(令和3年)以後は国外中古建物の不動産所得の損失のうち、簡便法等による減価償却費に対応する部分は「生じなかったもの」とみなされ、給与など他の所得との損益通算ができなくなりました。かつて広まった節税スキームは大きく制限されています。なお通算できなかった損失額は、その物件を売却する際の譲渡所得の計算で取得費調整として考慮される扱いがあります。詳細は税理士にご確認ください。
ベトナム
居住者の海外不動産の売却益は、日本では譲渡所得として課税されます。国内不動産と同様に所有期間5年超で長期、5年以下で短期に区分され税率が異なります(目安・変動)。外貨建ての取得費・譲渡価額は所定の為替レートで円換算します。ベトナム側で源泉された約2%の税は外国税額控除の対象になり得ます。売却年の確定申告で書類添付が必要です。
国外財産調書とは
居住者(非永住者を除く)で、その年12月31日時点の国外財産の合計額が5,000万円を超える場合、翌年6月30日までに国外財産調書を提出する義務があります。ベトナムの不動産もその価額に含まれます。確定申告(所得課税)とは別の制度で、未提出・虚偽記載には加算税の加重や罰則の規定があります。金額基準・期限は変わり得るため最新情報と税理士の確認を推奨します。
ベトナムで
外国税額控除を受けるには、確定申告書に外国所得税を課されたことを証する書類(納税証明、源泉徴収を証する書類、申告書控え等)の添付・保存が必要です。ベトナムでは賃貸管理会社や売買時の手続きで源泉・納税されるケースが多いため、納税の証憑を必ず保管してください。書類はベトナム語のことが多く、訳文や明細の整理が実務上重要です。